2011年8月21日日曜日

風よヴェトナム


タイトルで本を選んでしまいました。

      『風よ ヴェトナム』平岩弓枝著  新潮文庫

2年も住めばその国はすでに“都”。
図書館の本棚でその“都”がついたタイトルが
目に入るとつい手が伸びてしまいます。
また、新聞の隅っこにでも“都”の活字があれば見逃しません。



本の書き出しはロンドンの劇場街コベントガーデン近くの
ロイヤル、ドルリーレーン劇場で上演中のミュージカル『ミス・サイゴン』の
話から始まります。
   *実はその劇場の近くには私が以前働いていた会社の本部があり
    慣れ親しんだ地区。てな事で、初めて読む平岩作品は順調な滑り出し。

『ミス・サイゴン」はベトナム戦争時の恋愛悲劇の物語。
読み進むうちに本の舞台はロンドンからベトナムへーーーー。

照明デザイナーの主人公が初めて訪れたサイゴンで宿泊するのが
サイゴン川に面したマジェスティック・ホテル。
  
   *私のお気に入りのホテルのひとつ。
    訪ねてくれた多くの友人をその屋上のバーにも案内をしました。
    日本の占領時代は『ホテル日本』と呼ばれ
    ベトナム戦争時代には多くの従軍記者も宿泊。
    その中には開高健もいました。 
    そして何故か彼の写真がロビーに著名人宿泊客の一人としてあるのです。
    それも、カトリーヌ・ドヌーブの隣に浴衣姿の彼の写真が。

    許せません。(嫉妬心からですかねーー)


主人公はサイゴンの街中を仕事で移動。
ニューワールド・ホテル、ベンタン市場、レ・タントン通り
統一会堂と懐かしい名前が次々に出てきます。
その後も物語の展開はベトナム戦争やボート・ピープルにまで発展
ハノイ、フエ、ダナン、ホイアンとまるで観光案内、歴史案内の
ガイドブックの如く進んでいきます。

と言うことで、作者のベトナムへの思いが
作品に詰め込まれた気がします。
それは、まるでテレビ番組の“ご当地紹介”ドラマの如くです。

従って、ベトナムの旅を懐かしむ人にはお勧め出来ますが
それ以外の人はーーーーーー、恋愛モノがすきなら良いかも。



でも「あとがき」はお勧め。
書き手は井川一久(元朝日新聞ハノイ・サイゴン支局長)
70年代、90年代初頭に計7年間程をベトナムに派遣され取材活動。

2千年のベトナムの歴史を実に簡潔に纏めています。
流石に『朝日』の記者。否、読売も毎日も産経もどこの記者でも
この位は書けるのかもね。だってそれで給与をもらっているんだからね。

大学教授の講演などを聞いても「流石!」と思ってしまうことがあります。
でも、考えてみればそれは彼等の仕事。
30年も40年もタップリ時間を掛けて研究し
何100回も人前で話しているのだから、上手くなって当然ですね。


もし話が下手な教授ならーーーー?
それは、給料泥棒。

その人から教わる学生が気の毒ですね。






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